Loading

ジャーナル記事

Journal

【若返り効果】16時間断食に秘められたダイエット以上の効果とは?

【若返り効果】16時間断食に秘められたダイエット以上の効果とは?

健康やダイエットに関心が高い人を中心に広まっている“断食”。16時間断食をはじめ、プチ断食や月曜断食など、その種類はさまざまです。なかでも『16時間断食』は、ダイエットだけでなく、若返り効果にも期待ができます。では、なぜ16時間断食が身体にいいとされているのでしょうか? そのメカニズムを紐解いていきましょう。

Contents

1.16時間断食とは?

16時間断食とは健康法のひとつ

『16時間断食』は、健康法のひとつで、1日の中で16時間の空腹時間を作るというものです。
医学博士で、現さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚先生の著書『空腹こそ最大のクスリ』によって、その効果やメリットが世の中に認知され、話題となりました。
新型コロナウイルスの影響で、生活リズムが変化した方もいらっしゃるかと思いますが、やはり現代社会で、日常的に、健康を損なわないタイミングで1日3回の食事を摂取するのはひと苦労といえます。

とはいえ、夕食を早めにすませる、朝食のタイミングをずらす、など少しの意識で取り入れることができる16時間断食は魅力的です。
しかも、科学的にも、身体のコンディションが整い、若返りスイッチがオンになると太鼓判が押されているならば、こんなに嬉しいことはありません。

16時間断食をはじめ、絶食によって得られる若返り効果は一体どのようにして得られるのか、そのメカニズムを見ていきましょう。

2.若返りに効果をもたらす「空腹による成長ホルモンの分泌促進」

長時間食事を摂らずにいると、お腹が「グ~ッ」となりますよね。
この空腹こそが、成長ホルモン分泌につながり、若返り効果をもたらすのです。これが、16時間断食やファスティングが若返りに効果的だといわれる理由のひとつです。

2-1.成長ホルモン分泌の仕組み

空腹時にお腹が「グ〜ッ」となることを空腹期収縮といいます。このグ〜ッという音は、胃を収縮させてまだ胃に残っているかもしれない食物を小腸に押し出そうとしている時の音なのです。
そして、食事が口から入ってこないことで、小腸の入口にある食べ物センサーが働き、「モチリン」という消化ホルモンが分泌されます。
16時間断食を始めて最初に訪れる難関が、食べ物の誘惑を断ち切り空腹感をやり過ごすこのタイミングですが、苦痛でもあり、恥ずかしさも伴うお腹の音が鳴ったときこそ、細胞から若返るための辛抱の時だといえます。

空腹時の「グ〜ッ」は若返りの最初のステップ


2-2.空腹こそ“若返りホルモン”の呼び水

空腹時に分泌されたモチリンによって、本当に空になったことを察知した胃から、今度は『グレリン』というホルモンが分泌されます。
グレリンには、食欲増進や体重増加を促進する働きがあります。
また、語源が「grow」=成長であることから分かるように、脳の下垂体に働きかけて、キーポイントとなる「成長ホルモン」の分泌を促進させます。

別名「若返りホルモン」と呼ばれる成長ホルモン


こうして分泌された成長ホルモンこそが、私たちが生きていく上で重要な働きを数多く担っていて、新陳代謝の活性化や体脂肪分解、筋肉の合成、肌のハリの維持などに働くことから、「若返りのホルモン」とも呼ばれているのです。

2-3.成長ホルモンの分泌を促すには16時間断食がうってつけ

成長ホルモンの分泌のピークは第二次性徴が起こる思春期で、その分泌量は加齢と共にどんどん減少します。
40代にはピーク時の半分、60代になると思春期の20%ほどまで低下します。
成長ホルモンの分泌が減少し、代謝が低下することで体脂肪が増え、筋肉は減少し、肌のキメやハリは失われ、老化していくのです。

若返りホルモンを出すには16時断食がピッタリ

この成長ホルモンによる若返り効果を手っ取り早く得るために、成長ホルモンを外部から直接注射で注入する治療が多くの美容外科で行われています。
大人になってから減少する一方の成長ホルモンですが、その分泌量を自力でアップする方法としては、16時間断食のほか、加圧トレーニング、筋トレなどの運動があります。
しかし、16時間断食であれば比較的簡単に取り組めるのでおすすめです。

3.16時間断食の魅力的な効果「オートファジーの活性化」

オートファジーとは、細胞内の不良タンパク質の自食・浄化作用のことです。
断食やファスティングによって食べ物が体内に入らない状態が長く続くと、強い飢餓感に襲われると思いますが、それは胃袋や脳での感覚だけの話ではありません。
では、オートファジーが、どのような仕組みでおこなわれるのかをお伝えいたします。

3-1.オートファジーの活性化で若返りを図る

若返りの鍵を握るオートファジー

少し視点を細かくして、体内を分子レベルで見てみましょう。
胃袋が空になると、物理的な空腹感に加えて、血糖値が下がることによる生理的な空腹感も高まってきます。
そして、おおよそ最後の食事から12時間ほど経過すると、ついには全身の細胞に栄養が行き渡らなくなり、細胞までもが飢餓を察知し始めます。
すると、飢餓状態に陥った細胞は、自らの細胞内でなんとか栄養を賄うために、細胞の中にある劣化や故障してしまった部分の分解をしはじめ、また体内でその部分が再利用できるようにリサイクルするモードを発動します。
こうして細胞自身の力で全身の細胞がリフレッシュされて若返りが起こるのです。
最近では、体内に侵入した悪い病原菌の分解もおこなわれることで、免疫力の向上までも期待できると分かってきました。

3-2.老化防止の鍵を握るオートファジー

オートファジーは、普段も身体の中で起きている現象ではありますが、元々は、過酷な環境下で強いストレスを受けても生き残れるようにと組み込まれた機能です。
このサバイバル能力といえるべき能力の活性を促すには、16時間断食のほかにも、高温状態、低酸素の環境下に置かれるなど、それなりの刺激がないと難しいようです。
40年前からオートファジーの働き自体は発見されていましたが、詳しい機能が解明されたのは、実はまだまだ最近のこと。
それまでブラックボックスだったオートファジーの作用機序が東京工業大学 大隅良典名誉教授によって発見、発表され、2016年にノーベル賞を受賞しました。
現在でも、このオートファジーが老化防止や疾病予防において大きなカギを握っていると、多くの研究がなされています。

4.老化防止のポイント「サーチュイン遺伝子」

サーチュイン遺伝子は、私たち哺乳類を含め多くの生き物に備わっているものです。
古くなった細胞の修復や、老化の原因となる活性酸素を除去することで老化を予防し、寿命が伸びることが確認された遺伝子であることから、「長寿遺伝子」や「抗老化遺伝子」とも呼ばれています。
このサーチュイン遺伝子が活性化されると、先ほど説明したオートファジーの活性化のほか、いたる所でDNAの修復がなされ、老化した細胞が作られないような働きが起こります。

老化防止の鍵を握るサーチュイン遺伝子

4-1.16時間断食でサーチュイン遺伝子を活性化

サーチュイン遺伝子は、普段は休眠状態で働いていないため、活動させるには眠っているサーチュイン遺伝子のスイッチをオンにする必要があります。
サーチュイン遺伝子を活性化する条件は、大きく分けて2つあり、ひとつは適度に負荷のかかった運動、ふたつ目は空腹や飢餓なのです。
栄養バランスはさて置き、日本をはじめとする先進国で暮らす人たちは、普通の生活水準で普通の食事をしているだけでも、生きていく上で必要なエネルギー量は充分賄えてしまいます。
このような環境下で、私たちが自力でこのサーチュイン遺伝子を活性化させるためには、運動や16時間断食などによって、細胞にストレスを与える必要があるのです。

5.16時間断食が向いている人の特徴

ダイエット効果だけでなく、若返りにも期待が高まる16時間断食。ぜひ生活に取り入れていただきたい、向いている人の特徴をお教えいたします。

5-1.16時間断食が向いている方の生活習慣

16時間断食が向いている人の食事習慣

1.洋食や中華などの外食が多く、動物性食品を多く摂取している
2.食べすぎ飲みすぎが習慣的で翌朝胃腸がもたれることが多い
3.食事以外での間食の量が多く、おやつが毎日の習慣になっている
4.高血糖、高血圧、メタボリックシンドロームの方

1と2に該当する“普段からカロリーが過剰摂取になりがちな方は、その分内臓への負担が大きく、細胞内のリサイクルも起きにくくなっています。
まずはトータルの摂取カロリーを抑えて生活習慣病を予防する、内臓の負担を減らすことを目的に16時間断食を取り入れてみても良いでしょう。

3の、身体のエネルギー維持や栄養補給が目的ではなく、嗜好品としてのおやつなどによる間食が習慣になっている方は、空腹時間を保ち、血糖値の正常化とインスリンの無駄遣いを防ぐためにも16時間断食を行っても良いでしょう。
しかし、すでに生活習慣病の方においてはオートファジーが抑制されているそうで、断食を行っても細胞の浄化・リサイクル効果に関してはすぐに期待できないかもしれません。

また、普段の食事内容を見た際に、油が多くボリューミーで、頻繁に夜遅い時間に夕食を摂っている方に関しては、無理やり16時間断食を実行することにこだわらず、まずは和食を基本とした食事の頻度を増やし、断食時間も12時間キープすることから始めるのがおすすめです。食事内容に困ったときは、『まごわやさしい』を意識した食事にすると間違いありません。

5-2.16時間断食が向いている人の体格

1.筋量も十分で体力がある
2.BMI20以上の普通~肥満体型に当てはまる
体質や体格的に16時間断食が向いている方は、学生時代運動部に所属していたか、大人になってからも定期的な運動習慣があり、筋量が充分で体力のある方です。
なお、BMI20以上の普通体型でも、次に説明する16時間断食をしてはいけない方の特徴に当てはまる方はしないほうが賢明です。

6.16時間断食を避けた方がいい人の特徴

16時間断食をやめておいた方がいい人とは?

科学的にも16時間断食が若返りに効果的だとお伝えしてきましたが、残念ながら全員の方が16時間断食に向いているわけではありません。16時間断食は避けた方がいい人の特徴をお伝えします。

16時間断食を避けるべき人の食生活

6-1.16時間断食を避けるべき方の生活習慣

1.普段からインスタント食品や食品単品で食事を終える
2.一日ハードな肉体労働をしている
3.身体や脳が疲れやすく、甘いおやつが嗜好品で手放せない

上記の1に該当する“インスタント食品や食品単品で食事を済ませてしまう”方は、栄養状態があまり良くなかったり、身体が省エネモードになっていたりする可能性があります。
その状態で16時間断食をすると、体調が悪くなってしまう可能性があります。
取り組む場合には、一日の摂取エネルギー量が必要量の60%を切らないように気をつけましょう。
カロリーにすると、一番エネルギー量の少ない女性で1200㎉、男性で1500㎉は確実に摂れるような食事です。

次に、2または3の“肉体労働をしている方”や“甘いものが手放せない方”が16時間断食を実施すると、身体に必要な栄養を十分に摂取できず、仕事や日常生活に支障をきたす可能性があります。
また、人によっては4時間以上の空腹すら耐えられず、栄養補給が必要な方もいます。
そのような方は断食によって細胞が疲労してしまうので、断食は避け、栄養のある補食を取り入れた生活習慣にすることで元気な状態を維持しましょう。


6-2.16時間断食を避けたほうがよい方の体格

BMI20以下のやせに該当する場合は、16時間断食を避けましょう

1.BMI20以下のやせに該当する
2.体力に自信がなく、学生時代から運動経験があまりない
3.ハードなトレーニング直後で、リカバリーや筋肥大を求めるアスリート
4.妊婦の方、授乳中の方

1のもともとやせ型の方は、16時間断食によって欠食が生じてしまうと、栄養状態が悪化してしまう可能性があります。
また、2に該当する、筋量が少なく体力に自信がない方は、体内に貯蔵できる糖質の量が少なく、エネルギーが足りなくなった場合に自分でエネルギーを作り出すことがあまり得意でない傾向にあります。
1または2に該当する方が16時間断食に取り組む場合は、毎日行うことはせず、週に数回行うに留めたほうがよいでしょう。
加えて、16時間という数字にもこだわらず、自分が可能な範囲での絶食時間を設けてチャレンジしましょう。

3の“ハードなトレーニングをした直後のアスリート”や“筋肥大を目的にトレーニングしている方”は、身体のリカバリーが第一優先です。
トレーニング直後は一時的に免疫力が下がってしまううえに、破壊された筋肉の再合成がより活発になっているタイミングでもあります。

ハードなトレーニング直後やアスリートにも16時間断食は不向き

そのようなタイミングに、16時間断食を実施して血中のアミノ酸濃度を低下させることは危険です。
回復に充分な栄養が足りずに風邪を引いてしまったり、筋肉痛がなかなか治らないといったことにつながりかねません。
断食中の軽い運動は、オートファジーの活性化によいとされてはいますが、アスリートレベルのハードなトレーニングの直後は別です。
オートファジーを目的に16時間断食がしたい場合は、疲労感が残るほどのハードなトレーニング直後は避けて行うことや、メンテナンスとして週末のみ行うなどの工夫をして取り入れるといいでしょう。

4に該当する、妊娠中の方、授乳中の方は、必要な栄養を毎日充分に摂取することが大切です。妊娠中の母親が低血糖や痩せ体質の状態だと、お腹の中の胎児は常に飢餓にさらされて育つことになります。すると、生まれてからその子どもは、将来的に心筋梗塞や脳梗塞、2型糖尿病、高血圧、肥満など、数多くの病気を発症するリスクが高くなることが分かっています。

まずは、ご自身の健康のため、そして大切なお子さんの将来ためにも妊娠中、授乳中は16時間断食は避けて、低血糖や栄養不足にならないようにしっかりと食事を摂りましょう。

まとめ

16時間断食が、なぜダイエットだけでなく若返り効果をもたらすのか、そのメカニズムをお伝えしました。仕組みが分かると、より効率的に16時間断食に取り組めるかと思いますので、ぜひ生活の一部に取り入れて、オートファジーとサーチュイン遺伝子活性化のスイッチをオンにして、若々しい身体を手に入れましょう。

▶︎「ダイエットや若返りにも効果的!「16時間断食」のやり方」はこちらの記事をチェック◀︎





カテゴリ一覧

関連記事